開発会社なのに新規事業の提案もできる会社
「例えば、新規事業のような前例のない取り組みや、どのように進めればよいかわからない課題に直面している場合、RITさんに相談し、提案を受けることで明確な方向性が見えてくると思います。多くのシステム開発会社では、こちらから明確な要件や仕様を提示しなければ、プロジェクトを進めるのが難しい場合があります。しかし、RITさんには私たちの言葉足らずの説明や、抽象的な要求でも汲み取ってくれる高い提案力がありました。」
そう語るのは、株式会社すごろくや代表取締役の丸田康司氏だ。
すごろくやは、2006年に創業されたボードゲーム専門店であり、日本国内におけるボードゲーム文化の普及に大きく貢献している企業だ。世界中から厳選したボードゲームやカードゲームを取り扱い、初心者から愛好家まで幅広い層に向けた製品ラインアップを提供している。家族や友人同士で楽しめるだけでなく、知育やコミュニケーションスキルの向上にも寄与する「遊び」を提案することを理念としている。
「RITさんとの出会いは、コロナ禍に突入した頃です。ボードゲームが好きだというRITの社員の方からアプローチをいただいたことがきっかけでした。ちょうどその時、参加者が同じ画面を共有しながらボードゲームで交流する、実際に楽しめるイベントを実現するツールの構想があったので、相談に乗っていただきました。」
▲提案時に使用した、RITの提案資料の一部を紹介▲
しかしながら、この構想は実現することができなかった。ユーザーがリアルタイムで同じ映像を共有し、遅延やズレを発生させないようにするためには、予想以上のリソースやコストがかかるだけではなく、技術的な課題もあったからだ。
「このプロジェクトは、いわば“前人未到”の領域に足を踏み入れるようなものでした。RITさんの提案を受ける中で、一見すると実現可能に思えるアイデアであっても、詳細に検討すると技術的に非常に複雑であることが次第に分かってきました。そのため、当時のリソースではプロジェクトの実現は難しいと判断し、一旦凍結することとなりました。」
ECサイトとメディアが融合した、まったく新しい仕組みのプラットフォーム
前回の構想クローズを経て、再びすごろくやとRITは新しいプロダクトの開発に乗り出した。今回、すごろくやとRITが協業した「SUPPE(ズッペ)」は、単なるECサイトではなく、ECサイトとメディアが融合し、ユーザーが質の高いレビューや情報を基に商品を選べるプラットフォームだ。商品レビューの質を向上させるために、AIによる編集や添削機能を導入。良質な記事を書ける人にはきちんと利益がある仕組みを作り、EC主体で健全で信頼性の高い情報を提供するメディアを融合させているのがSUPPEの一番の特徴だ。
「商品レビューというものはあらゆるところにありますが、既存の商品レビューには、製品とは関係のないネガティブなコメントや広告が溢れています。ネガティブなレビューは、そのボードゲームを面白いと思っている人や、ボードゲームの良いところを潰してしまうことがあり、ユーザーが本当に信頼できる情報を得るのが難しいという課題があります。」
SUPPEには、商品マーク機能があり、気になる商品を一時的に記録し、「マーク商品リスト」からシェアカタログを作成して購入やゲーム情報の共有、友人へのおすすめに活用できる。また、「タグワード」を登録しておけば関連情報の通知を受け取れるなど、ユーザーの利便性を高める新しい仕組みも備えている。
「SUPPEの開発を進めるにあたり、再びRITさんに相談することを決めた理由は大きく2つあります。一つ目は、以前の構想の際に感じた信頼感です。私たちの構想を理解し、それを形にするための具体的な提案を行ってくれるだけでなく、できないことについてもなぜできないのかをきちんと説明してくれたので、RITさんは私たちにとって非常に頼りがいのある存在でした。もう一つの理由は、新規事業支援金の活用サポートまでしてくれたことです。新しいプロジェクトを進める際、支援金を利用しましたが、その過程で行政への提出書類や支援金の運用に関する相談にまで対応していただけたことは非常に助かりました。」
開発業務を超えて、事業の方向性を一緒に考えられる存在
現在、ボードゲーム市場は供給過多の状態にある。膨大な量のボードゲームがリリースされている一方で、「どんなゲームなのか」「どういうところが面白いのか」といった情報が手に入りにくくなっているからだ。紙媒体の影響力が低下し、Webのレビューも気軽に書ける反面、記事の質が低下しているという現状に、丸田氏は危機感を抱いている。
「今回開発したSUPPEは、これで完成というわけではありません。どんどん機能を進化させていこうと思っていますので、その過程でまたいろいろご相談させていただければと思っています。また、全然違う新しいプロジェクトや、前回技術的な課題で実現には至らなかったプロジェクトも、今後技術のブレークスルーがあればぜひRITさんにご相談させていただきたいです。」
単に技術を提供するだけでなく、クライアントの目線に立ち、具体的な課題に対して柔軟かつ効果的な解決策を提案してくれるRITに相談することで、事業開発の道筋が見えてきたという丸田氏。その言葉を糧に、RITは今後もすごろくやと一緒に、ボードゲームの楽しさを伝えるための仕組み作りをサポートしていく。
プロジェクト概要
クライアント名 | 株式会社すごろくや |
---|---|
PJカテゴリ |
プロジェクトメンバー
浜田 和明
エンジニア
金森 祥治
デザイナー
川野 翔太郎
エンジニア